R&Mの詳細

R&Mのしくみ

R&M成形ではMuCell同様に、成形材料が金型に充填される過程で、流動末端で気泡が粗大化して破裂し、破泡痕(スワールマーク)が成形品表面に残りながら充填されるが、充填の最後に型内圧力を高めると転写が起こり、スワールマークが消失する

R&Mの効果

写真1に一般射出成形、高速ヒートサイクル成形、MuCell、R&Mのボス部分の断面写真を示した。一般の射出成形では天面の厚みよりも径が大きいボスが立っていると天面にヒケが生じる。残念ながら高速ヒートサイクル成形でもヒケが生じる。一方で、MuCellとR&Mではボスの付け根部分にやや大きい気泡が存在し、ヒケは全く見られない。

ボス部分の断面写真

写真1.ボス部分の断面写真(天面厚み:3.5mm、ボス外形8.2mm)左より、一般の射出成形、RHCM、MuCell、R&M

写真2にはウェルド周辺部分の表面外観の拡大写真を示した。MuCellではウェルドマークの凹凸は殆ど見られないが、流れの向きに沿った破泡痕の筋が強く見られる。R&Mではウェルドマーク、スワールマーク共に見られない。

ウェルド周辺部分の表面外観写真

写真2.ウェルド周辺部分の表面外観写真 左より、一般の射出成形、MuCell、R&M

写真3は開口部を多く持つ成形品であり、MuCellではスワールマークが流れ模様状にくっきりと残っているが、R&Mでは全く見られない。

微細射出発泡成形
R&M

写真3.センターパネルテスト型による成形サンプルの外観 左:微細射出発泡成形(MuCell)、右:R&M

微細射出発泡成形(MuCell)とは

微細発泡成形技術はMIT産学協同高分子成形加工プログラム(1973年発足)から生まれた技術である。このプログラムの中で、材料の物性を維持し、部品形状を変えることなく材料を節約する技術を開発したいという動機からスタートしている。
1980年代にMITで基本技術(基礎研究と応用開発研究)が確立し、1993年からライセンス事業としてTREXEL社に引き継がれた。開発当初は大幅な軽量化が可能といううたい文句であったが、近年では軽量化よりも寸法安定性、ソリ・ヒケ防止が主な目的として広く採用されている。MuCellの開発は、当初押出発泡からスタートしたが、現在では射出発泡用途が大半を占めているようである。
MuCellの概要は以下の通りである。超臨界流体(CO2、N2)を射出シリンダーに注入して、均一溶液を形成し、その均一ポリマー溶液を金型内に射出する。金型内では急激な圧力低下により極めて多数の気泡核を発生させる。射出された超臨界流体を含む成形材料は気泡を拡大させて体積を増加させながら金型キャビティ内を流動して充填される。
形成した気泡はゲートから遠ざかるとともにその径が大きくなっていき、流動末端では激しく破泡しながらガスを放出する。充填量を増やして型内圧が高まると、気泡が圧縮され粗大化した気泡も小径化する。

MuCallプロセスの概要
熱可塑性樹脂を可塑化
SCF(超臨界流体)を混合
SCF/溶融樹脂を加圧して単一相化
ノズル・スプルー・ランナーを流動(単一相を維持)
ゲート通過後に気泡核発生
気泡が拡大しながら充填進行
MuCallプロセスの概要図

微細射出発泡成形(MuCell)におけるスワールマーク発生のしくみ

溶解していた物理発泡剤(CO2やN2)が気泡になり、さらに気泡が破裂すると、破裂した気泡の痕が金型キャビティ内面に接する。このとき、金型温度が低いと破泡痕がそのまま冷却されて成形品の表面に残る。MuCellのように発泡ガスが多い成形では破泡する気泡数も多く、成形材料の流動に沿って模様を形成する。この模様は渦巻きのように見えることもあり、スワールマークと呼ばれる。

MuCellにおける金型内での気泡の挙動モデル

MuCellにおける金型内での気泡の挙動モデル

充填途中の気泡の様子

MuCellにおける金型内での気泡の挙動モデル

末端まで到達した時点での気泡の様子

MuCellにおける金型内での気泡の挙動モデル

型内圧が高まった時点での気泡の様子

代表的なスワールマークの表面写真

代表的なスワールマークの表面写真
代表的なスワールマークの表面写真